
自ら問いをたてる。私はこれをとても大切なことだと思います。
生徒の読書感想文を読ませてもらっています。すると、180字感想はそつなく書けるのに1200字になると書けない、という生徒をぽつぽつみかけます。あらすじや反射のような感想しか書けていない生徒たち。そこには「考察」がありません。「おもしろいと思った」「すごいと思った」「感動した」とあっても、理由が書けない。あるいは、理由をひとことで済ませてしまっている...もったいないなと思います。
「なぜ」そう思ったのか?自分の感想を掘り下げて理由(根拠)を探って行く。そうやってみつけた理由(根拠)を自分なりに補足し説明していく。読書感想文で必要なことはそういう作業だと思います。言い換えれば、本という媒体を使って自分の感じ方の根っこをつかむことなんだと思うのです。
「おもしろい」「すごい」「感動した」ことも、確かに感想です。でも、そう書いただけで終っていたら、がんばってスタートラインに立ちはしたけど走らなかった、というのと同じ気がします。本を読み切り自分が感動した部分を説明するための最低限のあらすじを要約する、というだけでも充分ハードルが高いと感じる生徒も多いかもしれません。でも、せっかく本を読み感じたこともあったはずなので、あと一歩踏み込んで、感じた事の言語化に挑戦してもらえたらな、と思います。
それは、自分の感じた事を言葉で伝えるトレーニングにもなります。自分の思ったことを筋道たてて表現していく作業は、不要なトラブルを回避する・誤解を招かないコミュニケーションをとれるようになるためにも、とても役に立つはずです。
感じること、感じた事を表現できるようになること、感じた事の背景を見つめること。
読書感想文は、書く生徒も大変ですが、読んでコメントつける大人も大変なのです。でも、これだけのことが詰まってます。だからやはり大事だと思います。自分の感じ方の根っこをつかむって、進路(もっと言えば人生)を主体的に選んでいくためにも必要なことだと思いませんか?「若いうちの苦労は買ってでもしろ」と言いますよね。読書感想文の苦労にも、あてはまるかもしれませんよ。
三学期の図書室は、受験生の小論文対策のためのレファレンスが多くなります。この前も、「教育関係の学部なんですけど、子どもの教育環境についての本はありませんか?」と聞かれたので『小論文の時事ネタ本(教育・教員養成編)』と、光文社新書『子どもの最貧国・日本』を紹介しました。この時期に全部読もうと思うとシンドイかもしれないから、目次を見て興味を持ったところから読んでみるのでもいいと思うよ、と助言しつつ本を手渡したのですが、数日後には、生徒は新書を返却してきました。
「この本、すごく良かったです。最初は難しいかなって思ったけど、一気に読んじゃいました」と言うので感心していると「国語の演習とか模試の評論に比べたら、まだ簡単でした」「ずっと文章が並んでるのだったら辛かったかもしれないけど、小見出しがちょこちょこあったから、その区切りがよかったのかも...」と照れながら補足してくれました。(これは司書にとって、ものすごく嬉しいコメントでした。なかなか新書に手が伸びない生徒たちに向けて、こういった視点を持っておすすめしたらいいんだな、と教えてもらった気分でした)
その後も順調に本を読み進めていったこの生徒は、子どもたちのコミュミケーション能力低下に着目し、思考力に関する本を借りに来てくれました。それならばと教員向け雑誌『月刊HR』のバックナンバーでコミュニケーションや思考力に関する特集やコラムを紹介たり、お弁当づくりを題材にした総合教育の実例絵本を紹介したり。手渡す本の主旨を的確に吸収してくれている手応えがあり、司書としてのやりがいを感じられるレファレンスでした。
「小論文指導の先生と話をしていると、いろんなことを教えてくれて、ああ私ってまだ何にも知らないんだなって分かりました」と言うので、これからだよ〜と励まします。まだ何も知らない、と悲観して立ち止まるのではなく、小論文指導の先生に導かれてどんどん知識量(自分で考える素材)を増やして行く生徒の後ろ姿はとても頼もしいです。
万能ではありませんが、図書室にもお役にたてる資料がいくつかはあると思います。小論文指導の先生にもらったアドバイスに沿うような本探しの部分は、司書もお手伝いできるかもしれません。ぜひ立ち寄ってくださいね。
前回、11月を振り返ったのですが、すでに12月も終わりが近づいて来ましたね。
12月3日は、2011年最後の委員会を開き、図書委員に2学期のふりかえりアンケートをしました。
楽しかったこと・自分なりにがんばったこと・反省点・3学期にやりたいこと・2012年のスローガンの5項目を記入してもらったのですが、生徒たちの感想を読んでいると「本当に皆いろいろ感じてるし、意見もいろいろ持っているんだな」と思いました。司書があえて注意しなかったことを反省点として自ら挙げていたり、図書室を良くするための方法や他の生徒が本に興味を持つ工夫を具体的に書いてくれていたり。本の延滞や紛失に心を痛めていたり、図書当番の時に自分はここを直したいと決めていたり。また 図書委員としてどうありたいか?どんな図書室にしたいか?という目標に紛れて、こんな意見もみつけました。
・「○年の輪」や「○学生の輪」のように、「図書委員会の輪」を作りたい
・今以上に良い委員会にする
この2人のコメントからは、個々の努力とは別に図書委員会総体としての力(チームワーク)を発揮した図書室づくりをしたい、という芽生えを感じます。彼らは共に高2で2年連続の図書委員。2年目ならではの視点を頼もしく思いました。
................
そして、12/14の試験返却日は『500color色えんぴつで色ぬりワークショップ』と銘打ってえんぴつの色ぬり大会をしました。実は図書室のカウンター周りに2学期から透明なボードに並べられた500色の色えんぴつを飾っているのですが、飾るだけで実際に使ったことはありませんでした。かねてから「飾るだけなら色えんぴつの意味ないじゃないですか」といろいろな人に突っ込まれていたのです。そこで思いきって1日限定で「使える日」を作り皆で色ぬりして遊ぼうと企画しました。実はこの色えんぴつ、色ごとにとってもおもしろい名前が付けられています。「秋の夜長のホットココア」「潮風にそよぐハマナス」「ライラックのティアラ」...色からイメージされた言葉が名前になっているのです。ある人は月9ドラマみたいな名前が多いですねと言い、またある人はおなかが空いてきた...とため息をもらします。そして分からない言葉にぶつかったら「これってどういう意味?」と別の人に聞きます。最終的には分からない言葉を書いておくメモを1枚作って、500色全部ぬり終わったら調べるということに落ち着きました。
やっていることはただの色ぬりなのですが、色のグラデーションがきれいで、ぬっているだけでも癒される気分だったり、色をぬりながらするおしゃべりが楽しかったり、色の名前から新しい言葉を覚えたりと、いろいろ盛りだくさんのワークショップとなりました。
さて、ここで質問です。本文中に、「いろいろ」は何回登場したでしょうか?
答えは図書室で。
早いもので、もう師走ですね。今回の図書通信では、11月の図書室を振り返ってみようと思います。まず10/27〜11/9の期間は読書週間でしたので、目玉イベントとして11/8に図書室○×クイズを実施しました。先着50名のところ、この日の昼休み来室者はなんと108名。(全校生徒の約7分の1が図書室にいたことになります)
図書委員の生徒たちの考え抜いた問題は、利用マナーや統計、図書館分類についてと難易度にも考慮したバランスの良い問題でしたが、クイズ参加者の生徒達もなかなか立派なもので、全問正解の優勝者が5人も登場しました。中でも大活躍だったのが2人の中2男子生徒。残り3人の優勝者は彼らの回答を大いに参考にして勝ち抜いていた様子でした。
5人には全校集会で表彰状と図書カードを贈呈したのですが、後日、中学1年の優勝者に「もう図書カード使って本買ってくれた?」と尋ねると、父親の誕生日に本をプレゼントするために利用したということでした。図書カードもらえてちょうど良かったです、と語る生徒に、むしろこちらが「良い使い道をしてくれてありがとう」とお礼を言いたい気持ちになりました。
............
授業との連携もありました。高2の保健の授業で図書室を活用した「環境問題」についての調べもの学習をすることになり、生徒の本選びのお手伝いをしました。テーマごとに班に別れ、ひとりひとりが大テーマに沿った中テーマを受け持って調べ、最終的に模造紙にまとめて発表するという大掛かりな調べもの学習でした。調べる作業と書き上げる作業、個人作業と協調する作業、まとめの作業とプレゼンテーション...とたくさんの課題が詰め込まれていました。
図書室での生徒たちは、知りたい情報がどこに載っているか分からなかったり、情報にたどり着いても書いている内容が難しすぎてあまり理解できなかったりで最初は随分苦戦していました。人に教えてもらって分かったつもりになっても、いざ説明する番になるとしどろもどろ、ということはよくあるものです。また、自分で少し調べてみたからこそ、分からないことの多さを実感したじろぐ、ということもあります。調べもの学習は、受け身では一歩も先に進めず、やらされていると感じていたら何も身に付かない授業です。でもだからこそ知りたい内容に苦労して自分で到達した時の達成感は、学ぶよろこびそのものなのではないかな、と思います。実際、取り組みながら「わかった、そうすればいいのか〜」「あーここに載ってる」と言う時の生徒の表情はとてもステキでした。出来上がった模造紙は教室前の廊下に張り出されています。他のクラスのまとめも見る事ができるので、ぜひ。
みなさん、本と言えば文学というイメージでいませんか?もちろん、図書室に一番多く所蔵されているジャンルは小説です。朝ドクのために手に取るのも小説が一番多いかもしれませんね。けれど図書室には、もっといろんなジャンルの本があります。しかも、気軽に眺めるだけでも充分楽しめる写真やイラストの多い本がたくさんあるのです。なぜかというと、こんこんと読むだけが「読書」の醍醐味ではない、と司書が考えているから。読書の楽しみ方にはリラックス&リフレッシュ、アイデア探し、暇つぶし、といろいろあっていいはずだし、新しいことに興味を持った時は、敷居が低い方がその分野の知識を吸収しやすい。そして、世の中には高度に専門的なことを気軽に楽しめる良質な本も多数、出版されています。そういう各業界のオイシイとこどりの本を味見してもらう場所が図書室なのです。
前回このブログで紹介した『工場は生きている』『けんちく体操』『空間練習帳』『自ぜんの仕組み』などはその最たるものです。まだチェックしていない人はぜひ図書室で確認してくださいね。
みなさんたちの中には「求める本はお小遣いと別で買ってもらえる」という人も少なくないのかもしれません。それはとても幸運なことです。けれど、それでも私はあえて図書室に足を運んでくれると嬉しいなと思います。司書は、誰でもない大阪青凌の生徒や先生のため(だけ)に本を選んでいます。図書室は常にその学校にふさわしい本を集める努力をする結果、生徒の興味関心に沿う書架構成になってゆくのです。それは大阪青凌オリジナルの、青凌生のための、かゆい所に手の届く本棚。青凌生のための「専門図書館」なのです。だから本屋さんに行くよりも図書室に来た方が読みたい本に出会う確率が上がる!という棚に成長していけたら理想です。図書室で見つけたお気に入りを本屋さんで買い求めてくれてもよい訳ですしね。
生徒が「おもしろい」と思うものは、エンターテイメント性の高いものだけに限りません。分からなかったことを知る・疑問を解決する手応えがあった本も「おもしろい」と感じます。図書室の存在理由のひとつは知的好奇心を満たすための本が所蔵されていることですが、それに加えて知的好奇心が湧き立つような図書室でありたいとも思います。生徒が気軽に楽しめる本プラス生徒がちょっと背伸びしたら読める本の配合を、日々検討中です。みなさん、「おもしろい」という気持ちをどんどん育てて下さいね。その気持ちが、図書室も育てます!

