受験生とゲストのみなさまへ

2025年12月24日

2025年度 二学期終業式あいさつ

 生徒のみなさん、おはようございます。2学期終業式も、エクセルホールで中学生のみなさんの前でお話しする様子を体育館と高校の各クラスに配信してもらっています。よろしくお願いいたします。

 さて、今年9月に、世界陸上東京大会が開催されました。テレビで見た人も多いと思います。男子110メートルハードルで村竹ラシッド選手が5位に、男子400メートルで中島佑気ジョセフ選手が6位となり、惜しくもメダルは逃したものの、大いに盛り上がりました。

 実は、この大会で、みなさんに紹介したいレースがあります。女子5000メートルの予選には3名の日本人選手が出場したのですが、田中 希実選手と山本 有真選手が同じ組になりました。田中選手がこの種目で一番速い選手です。今年4月の競技大会で、山本選手は田中選手のペースメイクの結果、2年半ぶりに自己新の記録を出し、世界陸上5000メートルの出場を決めました。

 山本選手はぜひその恩返しをしたいと思い、世界陸上予選の前夜、田中選手に「もし作ってほしいペースがあるなら言ってくださいと」と持ち掛けます。すると、田中選手が「1周72秒ぐらいで6周半押してほしい」と答えました。スローペースになれば、ラスト勝負で日本勢は苦しい、前半で少しでも集団のペースを上げるという狙いです。

 田中選手に言われ、山本選手はこう思ったそうです。「私を頼りにしてくれるのがうれしかったし、そのペースで押していけば自分の自己ベストも狙えるので、自分のためにも田中さんのためにもなる、田中さんには予選を通過してほしいと、心から思っていた。」

 田中選手は、レースの前半、先頭の山本選手の真後ろにつき、残り6周でロングスパートを仕掛けて5着となり、自身4大会連続の決勝進出を決めました。山本選手は18着で予選敗退となりましたが、田中選手から「2人で作ったレースだよ」と言われ、レース後に熱い抱擁を交わしました。レース後、山本選手は、「誰かのために、誰かと一緒に頑張る。それだけで、不思議なくらい内側から力が湧いてくる。1人だったらきっと怖かったはずなのに、気づけば怖さより楽しみの方が大きくなっていました。」「まだまだ田中さんは追いつけない存在ですが、また来年以降、アジア大会・世界陸上・オリンピックと続くので、次こそはという強い気持ちで頑張りたい」と語りました。

田中選手は決勝では12位という結果でしたが、予選のレースは、SNS上で「これぞチームジャパン」と感動を呼びました。

 

 個人ではなくチームで、弱みをカバーし合う、それが、チームで行うことの強みです。個人では自分で自分の弱みをカバーすることができいときがあります。みなさんの学校生活においても、日ごろからコミュニケーションをとっていると、頼んだり頼まれたり、信頼できる人間関係ができていきます。チームには相互信頼と相互理解が不可欠です。言うまでもありませんが、このことを心に留めて、今後の学校生活を送ってください。

 2学期を振り返ると、大きな学校行事がたくさんありました。青凌祭・中2民泊・高2修学旅行・中3海外研修。みなさんは、クラスや学年の仲間と一緒に、それぞれの行事で思い出をいっぱいつくり、充実した経験や体験をすることができたと思います。

 終わりに、多くの高校3年生のみなさんが、大学入試 年内の総合型選抜・学校推薦型選抜に挑戦してくれました。そして、大学入学共通テストが年明け、目前に迫っているので、高3生のみなさんは、冬休みは生活のリズムを崩さず、受験勉強に取り組んでください。

2学期終業式にあたり、私の話は以上です。ありがとうございました。