受験生とゲストのみなさまへ

2018年05月26日

『十五の夏』①

 

 

元外務省主任分析官である佐藤優氏の新刊『十五の夏』を読みました。
タイトルにある通り、著者は15歳、つまり高校1年の夏休みに、一人で東欧とソ連を
旅行します。佐藤氏は私とほぼ同年齢なので、約40年ほど前のことです。
私事で恐縮なのですが、私も19歳の時に、1人で約2週間、西ヨーロッパを旅した経験
があります。出発がロンドン、最後の集合がパリと決まっているだけで、あとは全くの
風任せの旅でした。旅の計画を立てている時に、東欧も回ろうかなと思ったのですが、
調べて見ると手続きが面倒で、しかも国内を自由に回ることができないと知り、断念し
た記憶があります。当時は、それほど共産圏の国に旅行することは、いろいろと手続き
が大変でした。ヨーロッパに行く飛行機も、ソ連上空を飛行できないために、当時は北
回り便と呼んでいましたが、その多くが米国のアンカレッジ経由でした。
15歳の著者も、行く先々で列車に乗れなかったり、飛行機が飛ばなかったりとトラブル
に見舞われます。共産圏の多くの国々が、まだツーリストを受け入れる体制にはなかっ
たのです。
しかし、高校1年生だった著者は、それらの困難を乗り越え、チェコスロバキアからポー
ランド、ハンガリーからソ連へと旅を続けます。しかもソ連では、モスクワだけではなく、
中央アジアのサマルカンドやブハラまで足を伸ばしています。
本書によれば、この旅行は、「高校入学に対する両親からの御褒美」だったようですが、
両親は決してお金持ちであったわけではありません。しかし、若い著者が見聞を広げてお
く機会をもつことが大事だと考えられたのでしょう。ただ親になったからわかるのですが、
お金よりも、1人で当時の東欧とソ連を旅させるということは、心配で心配でたまらなかっ
ただろうなと想像します。
上下巻あわせて800ページを超える大本なのですが、その面白さにひかれてあっという間に
読める本です。次回、その中身を少しご紹介したいと思います。
福力