受験生とゲストのみなさまへ

2019年04月23日

大学入試改革1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

池上彰さんと佐藤優さんが、教育改革について対談した本を読みました。内容がコンパ
クトにまとまっていてわかりやすい。さすが池上さんです。
時間がない人は、第2章「是か非か?2020年教育改革」だけを読んでもいいと思います。
例えば、現在の大学入試改革が始まる前史を、わずか5ページにまとめてあるのですが、
これがとてもわかりやすい。ポイントを挙げると、

・連合赤軍が「共通一次」を生んだ
・旧国立二期校に難問奇問が多かった訳
・共通一次試験と大学の序列化
・共通一次試験とセンター試験の違いとは?

タイトルのつけ方が上手いというか、ついつい読みたくなってしまうところが池上さんら
しい。そしてなおかつ流れが理解しやすい。われわれ教育関係者も学ばなければいけない
ところです。
そして、何よりもこの2人の議論がすばらしいのは、きちんと論ずる対象の試験を自分で
解いていることがわかるということです。世にあまたある教育論議の本では、センター試
験を自分で解いてもいないのに、「今のセンター試験は、すべてマークしか答えがないか
らダメだ」というような断定が、よく見かけられるのです。
本書では、最後に大学入試センター理事長の山本廣基氏と2人の鼎談が掲載されているの
ですが、山本氏が次のような興味深いエピソードを明らかにされています。

「さらに少し残念だったのは、一度、教育再生実行会議のメンバーに大学入試センターを
 視察してもらったことがあるんですよ。その時、過去の問題をハードカバーをつけた冊
 子にして机の上に置いておいたのだけれど、いろいろ説明する間、誰もそれを開こうと
 しないのです。」(本書208ページ)

エビデンス(証拠)に基づかない議論は、無益どころか有害でさえあり得るということだ
と思います。
それでは、この2人は今の新しい大学入学共通テストを、どのように評価されているので
しょうか。次回、それについてまとめてみます。
福力