校長ブログ

2025年04月7日

2025年度入学式 ※4/8動画追加

 桜の花が満開となり、ようやく春爛漫の陽気となりました。

 本日、ここに、保護者ならびにご来賓のみなさまにご臨席を賜り、大阪青凌中学校・高等学校 2025年度入学式を挙行できますことは、私たち教職員にとりまして、この上ない喜びです。厚くお礼申しあげます。

 ただ今、本校への入学を許可されました、中学第41期生24名、高校第43期生380名、あわせて404名の新入生のみなさん、入学おめでとうございます。

 保護者のみなさま、本日は誠におめでとうございます。高い席からではございますが、お子様のご入学を心よりお喜び申しあげます。

 さて、新入生のみなさん、大阪青凌は、今年創立43年目を迎え、校地をこの島本の地に移転し6年目を迎えました。

 入学式にあたり、新入生のみなさんに本校の校訓についてお話しておきたいと思います。大阪青凌の校訓は「自主自律」です。「律」は自分を律するというときに使う漢字で、「自主自律」とは、わかりやすく言うと、自ら考え判断し、自ら決定し行動する、ということです。自分が身につけたその力を、将来、人や社会のために活かそう、という願いも込められています。

 もちろんこの校訓を実践するのは簡単なことではありませんが、大阪青凌に入学して、これから自分の夢に向かって進んでいく新入生のみなさんに、お話したいことがあります。

 みなさんは、バッタ博士と言われている、前野幸太郎さんという人を知っていますか。「バッタを倒しにアフリカへ」という本を読んだことがある人も多いでしょう。昆虫学者である前野先生は、2011年、31歳のときに、政府の派遣でアフリカのモーリタニアへ渡ります。「サバクトビバッタ」は大発生すると、農作物や家畜のえさである牧草まで食べ尽くし、世界的な問題となっていました。効率よく駆除するには、サバクトビバッタの生態や行動のパターンを把握する必要があります。これまで誰もやっていない、サハラ砂漠での過酷な現地調査に前野先生は挑戦しますが、広大な砂漠の中でバッタの出現も不規則であり、数々のトラブルに巻き込まれます。一時は研究費も底をつき無収入になりますが、サハラ砂漠でのフィールドワークにこだわり、他国にも渡り研究や実験を続け、決してあきらめませんでした。そして、ついに、普段は別集団で生活しているサバクトビバッタのオスとメスが、夜間に集団産卵の行動を取る、ということを突き止めます。その研究成果をまとめるまで9年間かかりました。2021年、前野先生の論文が世界でも名だたる科学雑誌に掲載されました。この研究成果を活用し、効率よく駆除をすると、バッタの大発生の抑制につながります。

 前野先生は秋田で過ごした少年時代に、近くの図書館で借りた「ファーブル昆虫記」に熱中し、虫の謎を解くために、昆虫の研究者をめざすことを決めました。

 前野先生は、中高生のみなさんに次のようなエールを送っています。「好きなことを仕事にするために大変な試練に立ち向かうことは、多くの人に共通する悩みであり、人生最大のチャレンジです。でも、自分はあきらめずに、やりたいことなら苦労が続いても気にならなかった。みなさんには、ぜひ自分が好きなことを続けてほしい。そして、夢をかなえるには人とのつながりが大きく影響します。頼れる大人や友人と出会い、教えを受けて、自分で考えて成長する過程が大事です。」

 

 新入生のみなさん、今の、前野先生の言葉を聞いて、どのように感じましたか。大阪青凌での学校生活を送るにあたり、みなさんの周りには、ともに学校生活を送る仲間がいます。みなさんには、これから仲間とすごし、成長する時間がたっぷりあります。大阪青凌の学校生活の中で夢や目標を見つけ、それに向けて自分が今、何をしなければならないのかを考え、同じクラス・学年の仲間と一緒に努力を重ねていってください。いろいろチャレンジをしてください。失敗してもかまいません。困ったときには仲間や先生たちの力を借り、改善できる方法を考え、次に活かしてください。

 保護者のみなさま、私たち教職員は、お子様の夢や目標の実現に向け、全力で指導にあたります。それには、ご家庭と学校との連携が欠かせません。ご理解とご協力を何卒よろしくお願いいたします。

 結びに、大阪青凌に入学するみなさんが、充実した中学校生活・高校生活を送り、「ひとつ上の自分」へ成長してくれることを心より願い、私の式辞といたします。

 

    2025年4月7日

    大阪青凌中学校高等学校  校長  向 忠彦