校長ブログ

2018年02月19日

冤罪のち次官④

次々とかつての部下や同僚が自分に不利な証言を重ね、外堀が埋まって行くなか、村木氏
は、どのようにして無罪への道を切り開いていったのでしょうか。この稿の最後に、そこ
に焦点をあててみます。
彼女が検察の主張を覆す書類を発見したのは、「公判前整理手続」が行われ、開示された
証拠を拘置所で見ている時でした。(時代の証言者⑥ 1月31日付 読売新聞朝刊)

検察の筋書きによれば、偽の障害者団体が郵便割引制度を悪用しようとしたが、6月8日に
郵便局から証明書がないことを指摘され→村木氏に連絡→村木氏が係長に作成を指示→団体
が10日に証明書を提出、となっています。
ところが、証明書が作成されたFD(フロッピーディスク)のプロパティには、作成日時
2004年6月1日1時14分32秒、更新日時2004年6月1日1時20分06秒となっていたのです。
証明書の偽造が6月8日以降になされたとすれば、このプロパティとは辻褄があわなくなって
きます。このことに気づいた村木氏は、その重大性を含めて弁護士に連絡をとります。そこ
から事態は急変していくのです。

しかし公判前整理手続で公開された検察の資料はA4版で積み上げると70センチ以上の高さ。
よくこの中から決定的な資料を見つけられたものだと感心します。村木氏はその疑問を予想
していたかのように、その理由をちゃんとエッセイの中で明かしています。
それが人気漫画「名探偵コナン」。このアニメから、村木氏は「証拠は思い込みを排して新
鮮な目で見ること、ヒントは身近なところにあること」を学んだそうです。日付のずれを発
見したのは、「新鮮な目でもう一度と、証拠書類を2度目に読んでいた時のこと」だったそう
です。
ちなみに夫の太郎さんは、妻のために「名探偵コナン」を2007年からすべてDVDに録画して
ある(!)、とのこと。読売新聞に掲載されたDVDの写真は、ディスク表面にきちんと番組
のタイトルと「名探偵コナン」の主要キャラクターがプリントされてあり、ご夫婦の絆の強
さを感じさせられました。
福力