校長ブログ

2019年05月9日

大学入試改革4

新刊の『教育激変』(中公新書ラクレ)を手がかりに、ここまで大学入試改革について、
主にプレテストを中心に見てきました。
池上彰氏、佐藤優氏、そして安西祐一郎氏は、細かい点で意見の個人差はあるものの、プ
レテストの内容を高く評価し、たとえ正答率が極端に低くとも、試験内容をこれ以上易化、
あるいは妥協すべきではないという考えです。

しかし、大学入学共通テストは、50万人以上が受験するテストだと考えた場合、この意見
は、かなり極端ではないでしょうか。(池上氏、佐藤氏ともに、自分たちの考えは異端だ
と本書の中で述べられてますが)
やはりテストの評価は、その中身だけではなく、実施可能性はもとより、その試験によっ
てどれだけ受験生を選別することができるか、つまり順位づけできるか、また公平な採点
は可能かなど、現実に即した技術的な観点を考慮すべきであることは言うまでもありませ
ん。
しかし今回の大学入試改革は、英語4技能の重視などに見られるように、「理念先行」で
推し進められてきたことが否定できないと思います。その結果、現実に実施してみて、さ
まざまな壁にぶつかっているという感じがします。
現実にこのテストを受ける高校生は、もう2年生になりました。もはや議論をしている時
間はありません。1日も早く現実的なプランを提示し、受験生が安心してその対策にとり
くめるように願いたいと思います。
福力

※先月、現実より理念先行で大学改革が迷走しているという、以下の新聞記事を読みまし
 た。ご参考まで。
 「政府主導の大学改革迷走 根深い演繹型思考、背景に」(日本経済新聞2019.4.1)