校長ブログ

2021年10月19日

読書の秋②

 

読書の秋、2冊目に紹介するのは漫画『ペリリュー』です。
恥ずかしながら、2015年4月に天皇・皇后両陛下がこの島を訪問するまで、私は
この島の名前を聞いたことはあっても、その島であった戦闘を詳しくは知りませ
んでした。
この島を訪れるのは、天皇陛下自らの長年の念願だったといいます。しかし島に
は、陛下や随員を乗せた旅客機が離着陸できる空港がない。ゆえに陛下が海上保
安庁の巡視船に宿泊し、巡視船に搭載されているヘリコプターで島に向かうとい
うことで、初めて実現した慰問でした。
果たしてそこまでして天皇陛下がこの島を訪問した理由は?この島ではどんな戦
闘があったのか?これらの疑問に答えてくれるのが、漫画『ペリリュー』です。
漫画で出てくる日本兵はとてもかわいいキャラクターなのですが、描かれる史実
は壮絶なものです。もしリアルなキャラクターで描かれたものだったら、読み進
むことが困難だったかも知れません。
全11巻。読み進むと、この島での戦闘が、飢えとの闘いであったことを私たちは
再認識することになります。実際の餓死者は5,000人を超えたといいます。
この島にいた日本兵約1万500人のうち、生きて日本に帰ったのはわずか34名。
この漫画が細部にわたってリアルなのは、作者が生きて日本に帰った人たちに丹
念な聞き取り取材をしているからなのです。彼らは日本が無条件降伏した後も、
それを知らずに約2年もの間、島の洞窟を転々として戦い続けます。戦争を始め
るのはたやすく、終えるのはいかに困難なことであるかということをこの漫画は
教えてくれます。中学生や高校生にも読んでほしい漫画です。
福力