2026年02月28日
朝晩はまだ少し気温が下がる日もありますが、日中は暖かな日差しが降り注ぎ、少しずつ春の訪れを感じるようになってきました
本日、このように多数のご来賓ならびに保護者のみなさまのご臨席を賜り、大阪青凌高等学校第41回卒業式を挙行できますことは、私たち教職員にとりましてこの上ない喜びです。高い席からではございますが、ご列席のみなさまに厚くお礼申しあげます。
さて、ただ今、卒業証書を授与された41期生のみなさん、卒業おめでとうございます。卒業証書は、みなさんが3年間の学業を修め、高校生活を終えたという大切な証です。今一度、その達成感と喜びを感じてください。
昨年、大阪大学特任教授の坂口志文先生が、ノーベル生理学・医学賞を受賞されました。受賞理由は、「免疫」を制御する細胞「制御性T細胞」を大量に作成する方法の開発に成功されたことです。
そもそも「免疫」とは、体内に入り込んだ病気の原因を追い出す仕組みです。風邪をひくと、発熱や鼻水などの自覚症状が出るのも、ウイルスを追い払う免疫機能が働いているからです。しかし、働き過ぎるとアレルギーになったり、自分自身の細胞を攻撃したりしてしまいます。坂口先生が発見した「制御性T細胞」は、免疫反応の暴走を止めるブレーキ役の細胞です。ちなみに、映画にもなった漫画「はたらく細胞」の中にも「制御性T細胞」は登場します。
人間の体は不思議なもので、自分を守るはずの免疫がときに、自分を攻撃する。この明らかな矛盾には、必ず何か理由があるはず、と坂口先生は考えました。それが「制御性T細胞」を研究するきっかけでした。ただ、なかなか存在の裏付けが立証できず、研究費の獲得に苦労し、研究員の確保もままならない状況でした。1980年代に、皮膚科のお医者さんである奥さんと一緒に、研究のためアメリカへ渡ります。様々な研究所を渡り歩きながら、あきらめず、面白いと感じ、研究を続けました。
まさに、「之を知る者は之を好む者に如かず。之を好む者は之を楽しむ者に如かず。」です。孔子の「論語」にある言葉で、「物事をただ知識として知っている人は、それを心から好んで取り組む人には及ばない。さらに、それを好んで取り組む人でも、心から楽しんでやっている人には及ばない。」という意味です。つまり単なる知識や努力を超え、夢中になって楽しむ姿勢が最も上達し、成果を出すという意味です。坂口先生はこの研究を50年続けました。
この発見により、「制御性T細胞」を増やしたり働きを強めたりすることで、自己の細胞や組織を攻撃してしまう自己免疫疾患を抑えられる、と期待されています。また、逆に機能を抑制すれば、がんの免疫療法に役立つと考えれられています。
先生は、夢を追う若いみなさんに次のように語っています。「人それぞれにいろんな事に興味を持つと思います。だんだん最初の興味がより強くなり、問題が明確になり、また新しいことも見つかってくる。時間がかかっても、「持続+挑戦」が大事です。おもしろいと思ったことをあきらめずに追究してほしい。」
卒業生のみなさん、夢に向かって、自分の興味関心があることに、夢中になって粘り強く挑戦を続けてください。
保護者のみなさま、お子様の高校ご卒業、誠におめでとうございます。我々教職員一同、心よりお祝い申しあげます。生徒たちが精神的に自立していく時期にあたるこの3年間、多くの保護者のみなさまには、お子様が幼いころとはまた違った、ご苦労があったのではないかと拝察いたします。この3年間、本校の教育活動に対し、常にあたたかいご支援とご理解をいただきましたことに、あらためて、お礼申しあげます。今後とも大阪青凌にご鞭撻を賜りますようお願いいたします。
卒業生のみなさん、ふと高校生の日々が懐かしくなったときには、迷わず母校を訪ねてきてください。そこには、あたたかく迎える先生たちの笑顔が、いつでもみなさんを待っています。
以上、この佳き日、41期生288 名の卒業生の前途を祝し、みなさんが健康で豊かな人生を歩まれることを祈念しまして、私の式辞といたします。
令和8年2月28日 大阪青凌高等学校 校長 向 忠彦