校長ブログ

2018年05月28日

『十五の夏』②

まだ15歳なのに、あるいは逆に15歳ゆえにか、若き日の佐藤氏は、共産圏をトラブルに
見舞われながら旅する先々で、とても印象的な人々との出会いを繰り返します。
例えば、ポーランドでは、地元の人たちが通う食堂で、4人の男性から声をかけられ、
そのうちの1人に「一緒に俺の家にこないか」と誘われるのです。
佐藤氏は不安を感じながらも、これはポーランド人の日常生活を見る貴重な機会と思って
彼らに身を任せます。(よくまあ無事に帰ってこれたものです)
タクシーに乗って約30分。彼らのうちの1人の家に着き、そこで男たちのパーティ?に参加。
ウオトカを飲まされ、ハンバーグやチーズを食べ、たどたどしい英語で4人のポーランド人
と話をして騒いでいると、電話が鳴ります。

 

「ボーイ」「ボーイ」と男たちが叫ぶ。
そして股ぐらの急所を指で示した。男の子が生まれたということがわかった。(123ページ)

4人のうちの1人の奥さんが妊娠して、今日がその出産予定日。4人はその連絡を待っていたの
です。佐藤氏はその家の主人に強く抱きしめられます。

 

男たちは抱き合って涙を流している。父親となるのは重大な意味を持つのだという雰囲気が
ひしひしと伝わってくる。それと同時に僕が生まれたときに、僕の父もこれくらい喜んだの
だろうかと少し考えた。(124ページ)

 

この後、彼らに気に入られた佐藤氏は、さらに歓待され、あげく貴重なお土産を手にすること
になるのですが、その内容はぜひ本書を読んでみてください。
本書を読んで、若き日に海外に出るということは、危険がともなう反面、若い時にしか体験
できないことがあるなぁと、改めて感じさせられました。
福力