校長ブログ

2018年05月1日

すばらしい先生

NHKのラジオ放送(NHK「聞いて得する情報」4月25日放送)をオンデマンド聞いて
いて、すばらしい先生が身近におられることを知りました。
府立槻の木高校の山本宗平先生です。
山本先生は、生まれつき視覚に障がいがあり、光がわかる程度。しかしその状態で、
英語の授業を行っておられるといいます。
教科書はどのように読み取っているのかというと、自ら点字訳した太い電話帳のよう
な教科書を指でなぞりながら音読しています。そしてあらかじめ説明すべき内容は、
パソコンに打ち込んで、それをプロジェクターで投影することで、黒板がわりにされ
ているのです。
生徒への発問は、すべての生徒の名前と声を覚えて、全くのランダムで。先生は、
「生徒にとっては、とてもスリリングだと思います」と言って笑っておられました。

授業で力を入れているのは、ずばり「音読」。白杖なしで机の間を歩いて、生徒の発
音に耳をかたむけます。最初は授業に不安を覚えていた生徒も、成績が上がって喜ん
でいるとインタビューに答えていました。
そもそも山本先生が、盲学校ではなく、普通科の高校で先生をしようと思ったのは、
視覚障害が知られていないところの方が、自分の存在意義があると思ったからとのこ
と。
例えば、避難訓練で生徒が山本先生を誘導しようとしたり、プロジェクターやスクリ
ーンの準備をしようとしたり、先生が歩きやすいように机の回りを片付けたり、こう
いうサポートが自然とわき起こってくる「学び」が大切だと、言っておられました。
将来、生徒が世の中で躓いた時に、自分のことを思い出して、どこかに突破口がある
と思ってくれれば、それが「生きる力」につながるとも。
学びの原点を見る思いがしました。
※参考記事「障害ある16人、教壇での活躍を本に 研究チームが準備」
                       (朝日新聞 2017年10月24日)
福力