校長ブログ

2022年01月25日

パルスオキシメーター

新型コロナウィルスのオミクロン株が猛威をふるっています。重症化率は低下したも
のの、その感染力はデルタ株の数倍はあると思われ、本校も臨時休校に追い込まれま
した。ワクチン接種によってできた抗体量には、接種の時期などにより個人差がある
と思われます。皆さま、くれぐれもご自愛ください。

さて、国産のワクチンのニュースが流れてどれくらい経ったのか記憶が定かではあり
ませんが、今だ日の目を見ていません。コロナウィルスに対するのみ薬も何種類かが
服用できるようになったようですが、そこにも日本のメーカーの名前は見当たりませ
んでした。何も国産品を溺愛しているわけではないのですが、少し残念という思いは
否定できません。
しかし、年末に『すばらしい人体』(山本健人著 ダイヤモンド社)を読んでいて、
今やコロナ感染者にとって必需品ともいえるパルスオキシメーターが、日本人によっ
て発明された画期的な医療機器であるということを知りました。

その生みの親は、当時日本光電に勤めていた青柳卓雄研究員。彼は酸素と結合した酸
素化ヘモグロビンと結合していない脱酸素化ヘモグロビンで、赤い色の光を吸収する
度合が違うことに注目します。簡単に言えば、酸素飽和度の高い血液と低い血液は、
光をあてた時の色が違うということです。パルスオキシメーターは、その色の差を皮
膚表面から観測しているのです。

この医療機器がない時代は、わざわざ採血をして調べなければならなかったというこ
とです。しかも何度も採血するわけにはいかず、リアルタイムの酸素飽和度は事実上
知りえなかったわけです。ところがこの機器を指先につけておけば、瞬時に酸素飽和
度を数値であらわしてくれる。画期的な発明だと言われるゆえんです。

上述した本によると、「新型コロナウィルスが全世界で猛威をふるい、まさにパルス
オキシメーターの面目躍如だった2020年4月、青柳は84才の生涯に幕を閉じた。」と
いうことです。今回のパンデミックに対しては、驚くべきスピードで実現化されたm-
RNAワクチンなど、さまざまな人類の英知が結集されています。人類がこのウィルス
を克服する日は、そう遠くはないでしょう。先の本は、その裏にさまざまな研究者の
努力が隠されているということに改めて気づかせてくれました。
福力