校長ブログ

2020年03月10日

中学第33期生卒業式

 

 

 

 

 

 

 

 

コロナウィルス感染症で一時は式の開催が危ぶまれましたが、なんとか本日、
第33期生の中学卒業式を行うことができました。
朝から暖かい雨が降る生憎の天候でしたが、卒業生と保護者の皆さんに参列
いただき厳粛な式が行えたこと、感謝いたします。
実はこれが現校舎で行う最後の式典でした。
当日の式辞を以下に挙げさせていただきます。

中学卒業式 式辞
 4月が近づくとともに、日に日に暖かい気候となりました。校内の桜のつぼみ
も一段とふくらみ、季節はめぐって春が近づいてきています。
 本日、ここに大阪青凌中学校第33回卒業式を挙行するにあたり、多数の保護
者の皆さまにご臨席をいただき、このように厳粛に執り行えますこと、教職員一
同、心よりお礼申し上げます。また今日の佳き日、保護者の皆さま、ご家族の皆
さまには、お喜びもひとしおのことと拝察申し上げます。誠におめでとうござい
ます。
 さて、大阪青凌中学校第33期生の皆さん、卒業おめでとう。入学してからは
や3年が経とうとしています。入学した頃と比べて、本当に皆さんは大きく成長
しました。
 覚えていますか?1年生の時は、教室の後ろでボールをなげては、よく叱られ
ていました。そして2年生の夏には、教室で幼虫からさなぎをへて成虫となった
カブトムシに興奮していました。最初は男子を中心に皆で世話をしていたのに、
気がつくと、なぜか清水先生が1人で世話をしていました。
 また皆が力を合わせた合唱コンクール。2年生の時には円陣を組んで本選に臨
み、見事に最優秀賞。今年も昨年に続き、連続で最優秀でしたね。男子も女子も
よく声が出ていて、皆、歌が好きなんだなという気持ちが合唱を通して伝わって
きていました。
 最も印象に残っているのが、やはり3年生の時に青凌祭で披露された「えんと
つ町のプペル」のお芝居です。前年度の3年生が高校生をおさえて最優秀に輝い
たというプレッシャーは、先生も生徒も相当のものだったと思います。しかし現
代劇場という大舞台でのそれぞれの演技は、皆、堂々としていて本当にすばらし
いものでした。そして舞台を彩っていたのが大きな絵本。約1カ月をかけて制作
されたと聞いています。8月末には「もう間に合わない、みんなで舞台であやま
りましょう」という声もあったようですが、平林先生も動員しての突貫の大仕事
で、なんとか当日に舞台を飾ることができました。
 審査の結果、残念ながら優勝を勝ち取ることはできませんでしたが、皆さんの
達成感は大きかったのではないでしょうか。一生の思い出に残る舞台になったと
思います。
 振り返ってみると、このようなさまざまな行事やイベントを通して、皆さんは
「ひとつ上の自分」へと確実に成長し、クラスのきずなは強まり、そして深くな
っていったことと思います。
 さて、来月になれば、皆さんはもう高校生。そしてこのタイミングで、大阪青
凌は校地を島本町に移転します。校地が移転するというのは、先生にとっても生
徒にとってもなかなか希なことです。心機一転、皆さんが何かを始めるには絶好
の機会と言っても良いでしょう。4月から始まる高校生活で、皆さんには、どの
ような事を心がけてほしいかを、お話ししておきたいと思います。
 少し気の早い話ですが、2020年度から、大学センター試験が大学入学共通テス
トへと変わることは知っているでしょうか。1990年から実施され、30年余り続い
てきたセンター試験ですが、来年度から名称を変更し、大きくその中身が変わろう
としています。その変化の中で、重視される1つが「読解力」です。
通常、読解力と言えば、文章を読んでその大意を読み取ったり、理解したりするこ
とです。もちろんそれが大事な力であることは、これからも変わらないのですが、
新しい大学入試で問われるのは、それだけではありません。文字で書かれたものだ
けではなく、グラフや資料、時には写真などから情報を読み取り理解する、場合に
よってはそれらの真偽(ほんとうかウソか)を判断する。そんな力を総称して「読
解力」と呼んでいるのです。
 それではなぜこのような力が重視されるようになったのでしょうか。理由の1つ
はインターネットです。今や皆さんが日々受け取る情報は膨大です。しかも情報の
元は新聞や雑誌のように書かれたテキストだけではありません。しかしそうなると、
必ずしも情報の発信元が信頼できるところばかりとは言えないのです。だからこそ、
新しい意味での読解力が必要とされているのです。
 読解力が必要なもう一つの理由、それはAI人工知能の発達です。AIがこれまでの
コンピュータと違う大きな点は、自分で学習するコンピュータだということです。
膨大なデータを読み取り判別することで、日進月歩でAIは学んでいきます。そのよ
うにして賢くなっていっているAIが、これまで人間にしかできなかった知的な作業
の仕事を奪っていくのでは、という恐れもでてきています。アメリカのワシントン
ポストという新聞のスポーツ欄の一部が、すでにAIによって執筆されているのは有
名な話です。
 しかしAIが学ぶのは、あくまでもパターンの学習で、文章の意味を読み取ってい
るわけではありません。そこはまだ人間にしかできない知的領域です。ところが、
本を読まなくなってきた人間が、まさにその力が衰えてきているとも言われている
のです。これではやがてAIに仕事が奪われるという心配は現実のものとなってしま
うかも知れません。
 幸い、皆さんはこの3年間で本を読んだり、文章を書いたりする習慣を身につけ
たはずです。それは高校生活、ひいてはこれからのあなたの人生で大きな武器にな
ります。高校生になっても、それらの習慣は是非大事にしてください。
 最後になりましたが、保護者の皆さまには本校の教育活動に対し、あたたかいご
支援とご協力を頂きましたこと、あらためてお礼申し上げます。本校はまもなく校
地を移転し、新しい島本の地で教育活動を行っていきます。新しい青凌にご期待い
ただくとともに、今後ともご鞭撻を賜りますよう重ねてお願い致します。
 以上、第33期生の未来に幸多からん事を願い、私の式辞といたします。       
                     令和2年3月10日  
                    大阪青凌中学校校長   福力 稔