校長ブログ

2020年02月22日

高校卒業式

                

 

 

 

 

 

 

 

 

今週木曜日、穏やかな天候のもと高等学校の卒業式が行われました。
式に臨んだ卒業生の姿は凛として清々しさを感じさせるものでした。
多くの保護者の方にご参列いただき、ありがとうございました。
当日の式辞を以下に挙げさせていただきます。

 

式辞
 今年の冬は、比較的暖かい日が続いています。最近は暖かい冬の日を「小春日和」などと
単純に喜べなくなっていますが、2月になり、朝夕、長くなった日差しの明るさは、いつも
どおり、春の到来が近づいていることを私たちに感じさせてくれます。
 本日、このように多数のご来賓ならびに保護者の皆さまのご臨席を賜り、大阪青凌高等学
校第35回卒業式を挙行できますことは、私たち教職員にとりまして大きな喜びです。高い
席からではございますが、ご列席の皆さまに厚くお礼申し上げます。
 ただ今、卒業証書を授与された35期生のみなさん、あらためて卒業おめでとう。今年は、
この3年間が一人一人にとってどのような日々だったのだろうかと想像しながら、卒業証書
に皆さんの名前を書かせてもらいました。証書はいわば一枚の紙なのですが、皆さんが3年
間の学業を終えたという大切な証です。今一度、その達成感を感じてほしいと思います。
 保護者の皆さまはいかがでしょうか。子どもたちが精神的に自立していく時期にあたるこ
の3年間、多くの方が、お子様が幼いころとはまた違ったご苦労があったのではないかと思
います。声をかけてもおざなりな返事しかかえってこない、心配するといやがられる、そん
な事もたくさんあったことでしょう。それでも愛情をかけ続けてこられた日々だったのでは
ないでしょうか。
 それらを鑑み、今日、こうして卒業式を無事に迎えられたことに、重ねてお喜びを申し上
げたいと思います。

 さて、35期生の皆さん、3学期の始業式で1964年に日本で開かれたオリンピックと、今
年開催されるオリンピックを比較して、その大きな違いをお話したことを覚えているでしょ
うか。1964年の大会では、マラソンや柔道、バスケットボールやサッカーなど、多くの種目
が男子のみで競われました。それは当時、男性のみで構成されるIOCが「女性らしい」とみ
なした競技種目しか、女子の正式な競技種目として認められなかったからです。
 また1964年の大会では、開催にあわせて東海道新幹線や首都高速道路を開通させるなど、
経済発展が最優先とされましたが、今年開かれるオリンピックでは、サステナビリティ(持
続可能性)という言葉に象徴されるように、これまでになく環境が重視される大会になって
います。
 このようにオリンピックを例にしても、半世紀も経てば、世の中の価値観は大きく変わるこ
とがわかります。そして今、皆さんはその価値観が転換する分水嶺の上に立っています。日本
においては急激な高齢化や人口の減少、また世界的規模で見れば、AI人工知能の発展や地球温
暖化、グローバリズムに対する反発と分断、このような事象にともなって、これから世の中の
価値観が大きく変わるという予感を多くの人が共有しています。ただ、その未来像は、今だ明
確ではありません。それが大いなる不安に結びついているのだと思います。しかし、間違いな
く言えるのは、その価値観を変えていくのは君たちの世代だということ、そしてどんな時代に
なろうとも、「ひとつ上の自分」を目指すというマインドは必須だということです。
 答えのない問いはありません。勇気をもって、新しい時代に挑んでください。一回くらいの
失敗でくじけないでください。むしろ失敗は成長の糧だと考えてください。
「天与の花を咲かす喜び 共に咲く喜び 人見るもよし 人見ざるもよし 我は咲くなり」こ
れは近代日本のある作家が残したことばです。インターネットと密接な現代社会において、私
たちはしばしば他人の評価や世間の価値観にふりまわされがちです。しかし今述べたように、
それらは時代とともに移ろいやすいものです。そんなものに振り回されることなく、自らの可
能性を追求し、自分らしく花を咲かせてください。
 英語で卒業式はCommencementといいます。その意味は終わりではなく始まりです。何かが
終わるときは、新しい何かが始まるときなのです。大阪青凌も、来月でこの校舎を卒業します。
35期にわたって行われたこの体育館での卒業式も、実はこれが最後です。
 4月から新しく始まる皆さんの生活が、青凌での日々を忘れてしまうほどに充実したもので
あることを願っていますが、またふと高校生の日々が懐かしくなった時は、迷わず新しい島本
校舎を訪ねてきてください。そこには、皆さんを暖かく迎える先生方の笑顔が待っているはず
です。
 最後になりましたが、保護者の皆さまには本校の教育活動に対し、あたたかいご支援とご協
力を頂きましたこと、あらためてこの場を借りまして、お礼申し上げます。本校はまもなく校
地を移転しますが、今も申しましたように、新しい島本の校舎は、卒業生にとっての母校です。
 今後とも大阪青凌にご鞭撻を賜りますよう重ねてお願い致します。
 以上、第35期卒業生の前途を祝し、皆さんが健康で豊かな人生を歩まれることを祈念しま
して私の式辞といたします。

                            令和2年2月20日
                              大阪青凌高等学校
                                 校長  福力 稔