校長ブログ

2018年06月16日

AI vs 教科書が読めない子どもたち①

  

 

唐突ですが、次の問題にチャレンジしてみてください。

問題(本書200ページより)
Alexは男性にも女性にも使われる名前で、女性の名Alexandraの愛称であるが、男性の名
Alexanderの愛称でもある。

この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1
つ選びなさい。
Alexandraの愛称は(    )である。
①Alex   ②Alexander  ③男性  ④女性

さて、いかがだったでしょうか。もちろん正解は①のAlexです。ところがこの問題にチャレ
ンジした高校生の正答率は65%、中学生の正答率はなんと38%だったそうです。
著者の新井紀子教授は、この正答率の低さの原因を、まず「愛称」という言葉を知らないと
いうこと、そして知らない単語が出てくると、それを飛ばして読むという習性が中高生にあ
るということ、以上2点に求めています。
本書『AI vs 教科書が読めない子どもたち』は、AIの正体を数学者の観点から説き明かし、AI
に対する過度な期待を廃す(第1章・第2章)一方で、全国読解力調査によって明らかになった
中高生の読解力の低さを示し(第3章)、このままではAIによって多くの仕事が代替された未来
社会で、「労働市場は深刻な人手不足に陥っているのに、巷間には失業者や最低賃金の仕事を掛
け持ちする人々が溢れている。結果、経済はAI恐慌の嵐に晒される」(本書「はじめに」より)
という最悪の予想(第4章)を描いています。
本書を読んで、「アクティブラーニング」も「e-ポートフォリオ」も、その議論を根底からやり
直さなければならないのでは、と思わされました。
このような本を読む時、私はいつも「ふせん」を持ちながら読み、大事だなと思うページに「ふ
せん」を貼っていくのですが、今回は、半端ないほどの「ふせん」を貼ることになりました。
次回、その「ふせん」を貼ったページから、いくつかをご紹介したいと思います。
福力