校長ブログ

2018年06月7日

巨大化するIT企業

あなたは月にどれくらいの頻度でアマゾンでお買い物をしますか?
先月29日にNHKクローズアップ現代+で放送された「生活すべてがAmazon化!?」。ご覧に
なられた方もたくさんおられると思いますが、衝撃的な内容でした。
私たちが気軽にネットショッピングでアマゾンを使うようになって、まだ数年しか経ってい
ないと思うのですが、世界中の人が「ポチッ」とやるようになった結果、世界は激変してい
るようです。
番組で示されたいくつかのデータをご紹介しましょう。
まずアマゾンの1年間の売上高ですが、1779億ドル。日本円になおすと、およそ20兆円。これ
は中規模の国家の予算にあたるほどの金額です。さらに驚かされるのは、アマゾンは、この売上
からあがる利益の大半を研究開発に投じているということです。つまり株主に利益を還元せずに、
もうけの大半を次の技術開発に投じているということなのです。これは米国の企業としては希有
な例と言えるかも知れません。それらの投資は、倉庫のロボット化、ドローンによる宅配、そし
て新たなソフトウェアの開発と、今の現状に甘んじることなく、さらに便利な社会を構築しよう
という野心が垣間見えます。その金額はなんと年間2兆5,000億円。これは、日本の防衛費の約半
分に相当するそうです。

一方、こんな国家をその規模で凌駕するような巨大企業が、それほど長い年月を経ずに急成長を
とげてきた結果、社会にさまざまなひずみが生じています。
「デス・バイ・アマゾン」。これはアマゾンの影響で業績が悪化したり、倒産に追い込まれるこ
とを指した言葉だそうですが、米国で倒産した小売業者は2016年が3,433店舗、2017年が6,955店
舗。この1年で倍増しています。大規模なショッピングモールもその例外ではありません。番組で
は閉店したメイシーズ(※米国の有名なショッピングモール)の映像が流されていました。
そしてアマゾンの本社があるシアトルでは、全体の税収は大きく増えたものの、不動産価格、アパ
ートの賃貸料の急上昇で、フルタイムで働いているのに家賃の支払いが苦しくなる事態に。ホーム
レスの人数は1万人を超えたそうです。
「ポチッ」とするのが、少し恐くなりました。
福力