校長ブログ

2017年11月5日

寂しい生活②

前回の続きです。
稲垣さんが節電に本格的に取り組み始めたきっかけは、東日本大震災によってひき起
こされた東京電力福島原子力発電所の事故でした。爆発する原子力発電所の映像を見
た彼女は、その責任の一端は自分にもあると考えたのです。(こんな風に考えたこと
がなかった私は、このくだりを読んで反省しきりでした)

 

「安全神話をいいことに、電気のもたらす便利さに当たり前につかり、溢れる警告を
バカにし続けた。自分のちっぽけな利益だけを考え、すべきことをハナからやろうと
もしなかった。」(本文28ページ)

そして、「個人的脱原発計画」を始めるのです。目標は、電気代の半減。この目標値
は、当時彼女が住んでいた地域に電力を供給していた関西電力が、その発電量の半分
を原子力に頼っていることから決められました。
しかし彼女はもともと電気代のかかるエアコンのスイッチを入れることはめったにな
く、ご飯も圧力鍋で炊いていたりしたため、1カ月の電気代はほぼ2,000円。これを半
分にするのは、文字通り「乾いた雑巾を絞る」(稲垣氏)ようなものでした。
明かりをこまめに消し、プラグを抜き、風呂場の換気扇を止めと努力を重ねたものの、
なんと翌月(4月)の電気代は微増していたのです。
彼女の個人的脱原発計画は早々に挫折しました。
福力